暮らす場所
2024
Emma Miles Higashi
10/28/20241 min read
季節の変わり目、特に夏から秋にかけてのグラデーションが昔はもう少しまろやかに景色や気温が移り変わっていたように思うのだけれど、最近は気がつくときっぱり変化していたりする。
とはいえ一年で一番好きな10月から12月までのこの季節は、家にいても森を歩いても、買い物に行く運転中も少しずつ紅葉していく樹々や夕日を浴びる八ヶ岳の美しさに毎日感動してしまう。リビングの窓から見える木の太い幹に絡まっている蔓があるのだけれど、この蔓の葉が春には新緑に秋になると真赤に、季節の変化を見せてくれる。本当に美しい。
昨日(日曜)は朝のヨガクラスから午後の占星学入門コース(最終日でした)まで、朝の犬の散歩以外はほぼ一日中家の中で過ごしていた。スペインにいた頃も仕事は家でしていたので必然的にずっと家にいたので気分転換にビーチを散歩していた。この15年ほどは自然が多く、人が少ない土地や地域を選んで暮らしてきたけれど今の環境ほどではなかった。
スペインではマラガ県のコスタ・デル・ソルの小さな街に5年ほど暮らしていたけれど、リゾート地だったので夏になるとヨーロッパの北の方からの観光客で人が溢れていた。ビーチの散歩も6月から10月までは人が多すぎて歩けなかったし、10月を過ぎると海風が強くなり天気も悪くなり歩いていてもそれ程開放的な気分になれなかった。
今暮らしている森は、夏には別荘利用の人が多少増える程度で車に乗って市街地に出なければほとんど誰ともすれ違うことはない。セッションとセッションの間の休憩や、ランチの後なんかに、15分ほどの短い散歩をよくする。
標高も高く沢山の木が日陰を作るので夏もそれほど暑くなく蝉や蜩の鳴き声を聞きながら歩き、秋は落ち葉や栗がたくさん落ちた道を、赤や黄色に染まった木の葉を見ながら歩き、冬は雪の上をキーンと冷えた空気を肌に感じながら歩く。時々鹿の群れに出会ったりする。
最近どこかに行きたいとか、特別なにかをしに出かけたいと思わなくなった。自分の家で仕事をして、敷地内の植物の手入れをしたり、近所を散歩したり、それだけで深く深く満たされている。こんなことを書いていてまるで80歳の様だけれど、30代の頃より余程心は健康だ。
11月のコテージは薪ストーブに毎日火を入れるようになり、ソファの上でウールのブランケットと犬と猫に囲まれて窓の外を眺めたり本を読んだりする日々がやってくる。今年の冬は編み物や刺繍を習ってみたい(そんな暇は今のところないのだけれど)。